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宇宙を駆けるよだかのネタバレ結末ブログ

ブスと美人の入れ替わり漫画「宇宙を駆けるよだか」のあらすじ、ネタバレ、感想、無料試し読みを紹介

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「イグアナの娘」を読んで母の日が嫌いなことを思い出した

 萩尾望都先生の漫画「イグアナの娘」を読んで、母親との葛藤を思い出しました。今日は母の日。

妹はかわいがるのに、何をやっても母に怒られ、拒絶されるヒロインのリカ。

リカが母親の誕生日に一生懸命選んだプレゼントを渡すと、母は「こんなものいらない!ママいらないから、お店に返してらっしゃい!」という、例のあのシーンが自分の母親とまったく同じだったので嫌な記憶がフラッシュバックしました。

私もまた、母親にとって「イグアナ」だったのかもしれない。まだ未読の方には何の話かわからないと思うので、まず簡単なあらすじからご紹介します。

漫画「イグアナの娘」のあらすじ


青島ゆりこが産んだ長女のリカは、南洋ガラパゴスにいるトカゲそっくりな冷血動物「イグアナ」だった。

ところが、イグアナに見えているのは自分だけで他の人間には普通に赤ちゃんにしかみえない。夫の目にも普通の女の子に見えておりかわいがってくれるが、どうしてもゆりこにとっては醜いトカゲとしか映らなかった。

次女・マミが生まれるが、マミはリカのようなイグアナではなく、普通の人間の子だった。こんなかわいい女の子が欲しかったのよ、とゆりこはマミだけを自分の本当の娘としてかわいがる。リカは何かの間違いで生まれてきたイグアナでしかない。

ゆりこは露骨にリカをいじめ、妹と差別して育てる。

「ヨダレだらけの手でマミに触らないで! 汚い」
「うるさいわね、まとわりつかないで!!」
「色黒でブサイクなくせに!」

妹には目一杯愛情を注いでいる母親の横で、リカはなぜ自分だけが邪険にされるのかとさみしがるが、父と母の会話から、母親が自分を「トカゲ、イグアナ」と思っているのだと知る。

マミは母の誕生日にハンカチをプレゼントして「本当に優しい子」と喜ぶ。だがリカは一生懸命勉強して90点以上取った答案を見せても「どうして全部満点じゃないの!」と責められ、さらにプレゼントに選んだ手鏡を渡すと気に入らない、と突っ返される。

「あたしがイグアナだから、ママはあたしが嫌いなんだ」と泣いて母親の愛情をあきらめたリカは、本当の両親はガラパゴスのイグアナなんだと思い込む。

母の日がしんどい子供の辛さ


『自分を産んでくれた両親に心から感謝している。毎日おいしい料理をつくって一生懸命に育ててくれた優しいお母さんに、一年の感謝を込めてプレゼントします』

心からそう思える母親だったら、どんなに良かっただろう。けれど、児童虐待までいかなくても、精神的にネグレクトされてきた環境で育った子供という存在もあるわけです。

母の日がしんどい、嫌い・・・なんてリアルでは「なんて恩知らずなことを言う人間だ」と思われるから口が裂けても言えませんけれども毎年毎年、「これならきっと気に入ってくれるかな?」と時間をかけて心をこめて選んだプレゼントがことごとく『こんなものいらない。気に入らないし、あたし使わない』と突っ返されるのを繰り返されていれば、誰でも嫌いになるんじゃないのかなあ、と。

母親にプレゼントを目の前でポン、と乱暴に捨てられたリカが自分の母の日の出来事とそっくり過ぎて読んでいて辛かった。


しかも、ほぼ毎年ですよ。一度嫌になってすっぽかしたら「カーネーションの花一本、買ってこないなんて!」と、その後3ヶ月ネチネチ嫌味を言われ続け、もうどうしたらいいのかわかんない。

花束をプレゼントしたらしたで「花なんか何の役に立たないわよ、自分の部屋で飾ったら?」と、持って帰れと言われて呆然。一番ひどかった母の日は、ブランド財布を買ってプレゼントして、気に入らないからと目の前でゴミ箱に捨てられたことですかね。

わたしには兄がいるんですが、リカとマミの関係そっくりで、何をやっても母は猫かわいがり。兄は悪いことばっかりやるんですが怒られず、私がいい成績とっても当たり前で母に尽くしても当たり前。

母の肩こりがひどいから、と中学生のときツボの本を買って勉強して毎晩寝る前にマッサージしていました。そして兄の悪事についてなぜかわたしが悪いということにされて怒られる、という理不尽な関係。

母は父が嫌いで四六時中夫の悪口しか言わず、娘のことも「バカ」「ブス」「デブ」と毎日罵り続け、さすがに大学生になる頃にやっと「自分の母は頭がおかしいんじゃないのか」とわかり始めて、母から愛情を期待する気持ちがなくなってしまいました。リカと同じですね。

でも子供の頃って、親は神様に等しい存在で何をやられても「ママ大好き」なんですよね。社会を知らないからよその家庭と比較することもできないし半分洗脳されているようなものですから、ぶたれてもどんなに理不尽なことをされても言われても母のために心から尽くして愛を捧げていました。

もっと大人になってから「この人にはどんなに愛情を求めても、一生絶対に自分を愛してくれることはないんだ」と心底わかり、スーッと愛情が消えていきました。それでやっと楽になりました。

今年の母の日ですか? ちゃんとあげましたよ。目の前で突っ返されたりゴミ箱に捨てられるのはご免なので、ネットで商品一覧見せて「これ、母の日にいるんなら買うけど?」とあらかじめ見せてから注文しました。赤の他人ならとっくに縁を切ってますが、母親は母親なんで。血の繋がりって本当に嫌ですね。

「イグアナの娘」のその後


さて、「イグアナの娘」のその後ですが、リカは自分が母親から忌み嫌われる存在「イグアナ」であることを受け入れ、学校で男子から告白されても「わたし、からかわれているんだ」と自分が醜いトカゲなのに好きになる人なんかいるはずがない、と断り続けます。

しかし実際はリカ自身の能力は高く、ブスだと思っているのも本人だけで傍目には勉強もスポーツもできる美人でした。

「誰も好きになってはいけない」と自分はイグアナなのだから、普通の人間の男を好きになってはいけないのだと自戒していたリカ。けれどでっかくて丈夫な牛みたいな牛山くんと知り合い、「この人ならだいじょうぶ!」と結婚、娘がひとり生まれます。

母親から愛情をかけられずに育ったリカは、生まれてきた我が子に愛情を感じられません。娘は普通の人間の子で、どことなく母に似ていてそのせいか愛情がわいてこない。まるで他人の子のように思えて「嫌ったり憎んでしまうようになったらどうしよう」と、自分もまた母親のように娘を嫌うことになるのかと怯えます。

そして、遠く離れて暮らしていた母親が突然亡くなり、里帰りしますがやはり悲しいという気持ちがわいてこない。「悲しくないのがむしろショック」というリカ。

母の顔が「イグアナ」だった意味とは


この漫画、わけがわかんない、という人もいると思います。一種の童話というか寓話のようなもので、娘が「イグアナ」に見えてしまうという荒唐無稽な設定になっていますが、その意味は「同族嫌悪」見たくないものを見せつけられるがゆえに忌み嫌ってしまう母親、という内容でした。

リカが横たわる母親の顔を見てみると、それは自分と同じ「イグアナ」だった、という衝撃。母は人間になりたくてずっと人間のふりをしていたのに、娘のリカが「イグアナに見える」せいで、自分が隠そうとしている正体を見せられていたからこそ、拒絶していたのです。

「わたしを産んで愛せなくて、苦しかったでしょう。お母さん」

リカは臨終の場で、母親がどうして自分を愛せなかったのか、その意味を初めて理解できたことで長年の心の苦しみから解放されました。

ちょっと気になるのは、ラストシーンまでリカがイグアナの姿であり続けたこと。夫と娘は人間。

『愛したい対象を、愛せない苦しみ』

『愛したい対象から、愛されない苦しみ』

「イグアナの娘」は短編漫画でページ数自体は少ないのに、いろんな思いが詰まっていてドラマ化されたのもうなづけます。

「母と娘の葛藤」に興味がある方なら、読んでおいて損はないお話です。

>>「イグアナの娘」無料試し読み

 

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